【傑作コメディ】『逮捕しちゃうぞ』の魅力!ぶっ飛び美人婦警と墨東署の個性派を徹底解説
藤島康介氏が手がけた連載デビュー作、漫画『逮捕しちゃうぞ』は、1986年から1992年にかけて『モーニング・パーティー増刊』(講談社)で掲載されました。警察アクションコメディ、ロマンス、そして青年漫画という複数のジャンルを横断するこの作品は、全7巻で完結しながら、累計部数600万部を記録する大ヒットとなり、アニメ、ドラマ、ゲームと多岐にわたるメディアミックスを果たした不朽の名作です。
藤島作品の最大の魅力といえば、やはり車やバイクといったメカニックへの繊細で緻密な描写です。作者自身が「細かい部分がよくわからないと描きたくない」と語るほどのこだわりが、この作品のリアルな疾走感を生み出しています。
墨東署の日常は、今日も大忙し! 主人公コンビと、彼らを取り巻く個性豊かな仲間たちの魅力に迫ります。
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1. 墨東署を駆け抜ける!最強の「凸凹美人婦警」コンビ
物語の中心は、警視庁墨東署交通課に勤務する二人の美人婦警、辻本夏実と小早川美幸の凸凹コンビです。正反対の二人が織りなすチームワークこそが、この物語の核となっています。
辻本 夏実(つじもと なつみ)
墨東署交通課の巡査であり、並外れた体力と怪力を持つ肉体派です。郵便ポストを肘鉄でへこませるほどの怪力の持ち主ですが、本人は「加減しているつもり」というから恐ろしい!豪快で正義感が強く、感情がすぐに表に出る情熱家です。
かなりの大食漢で酒好きですが、ワンカップで泥酔し記憶をなくすほどの酒乱になることも。愛車はヤマハ・RZ250で、普通自動車免許を取得後も二輪車を愛用し続ける、生粋のバイカーです。好みのタイプは、交通課課長や徳野刑事のような「渋いおじさん」というところも魅力的ですね。
小早川 美幸(こばやかわ みゆき)
夏実の最高のパートナーで、冷静沈着で頭脳明晰な知性派です。手先が器用でメカの創作や操縦を自在にこなし、自分たちのミニパトや白バイを自らチューンナップしてしまう天才メカニック!
私用の愛車は青のトヨタ・スポーツ800(昭和42年式UP-15初期型)です。普段はクールですが、交通違反者を見つけると一変。夏実が「本気を出せば絶叫マシン以上」と評するほどの暴走運転で相手を追い詰めます。白バイ隊員の中嶋剣とは周囲公認の恋人同然の関係ですが、お互いに奥手なため、二人のロマンスの行方も見どころの一つです。
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2. 独立愚連隊!? 墨東署交通課の「濃すぎる」仲間たち
墨東署交通課は「独立愚連隊」「ワイルド・サファリ」と呼ばれるほど、個性が渋滞している部署です。この濃いメンバーが、作品のコメディ要素を支えています。
中嶋 剣(なかじま けん)(巡査)
「墨東の白き鷹」の異名を持つ白バイ警察官。愛車はスズキ・GSX-R750の白バイ仕様。メカ好きの美幸と相性抜群で、公私ともにパートナーですが、奥手な性格のため美幸との関係はなかなか進展しません。
交通課課長(警部)
常に「課長」と呼ばれ、本名が謎に包まれていたカリスマ上司(アニメ版では花蝶と判明)。剣道は「墨東署のカマキリ」と呼ばれるほどの腕前で、個性派揃いの部下たちを巧みにまとめ上げます。美幸と中嶋のデートプランを作成するなど、お茶目な一面も。
二階堂 頼子(にかいどう よりこ)(巡査)
夏実、美幸の同僚でメガネがトレードマーク。噂話が大好きで、それが原因でトラブルを引き起こす騒動メーカーです。警察官としての能力は平均以下ですが、射撃の腕は署内トップクラスという意外な特技を持ちます。
葵 双葉(あおい ふたば)(巡査)
アニメ版から登場した、女装が癖になった男性警察官。その言動や仕草は非常に色っぽく、女性らしい細やかな気遣いは他の婦警たちを凌駕します。
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3. 街を賑わす!名物ライバル&異色キャラ
墨東署管内には、主人公たちに負けず劣らずユニークな名物キャラクターたちが登場します。
ストライク男
マスクと野球のユニフォーム、マントに身を包んだ謎の男。手前勝手な正義感から、些細な悪事をした者に私刑を加え、無茶な破壊活動を巻き起こします。夏実にボールを打ち返されたことで、彼女を「ホームラン女」と呼び一方的にライバル視。愛車はハーレーダビッドソンFLSTFなど、こちらもメカにこだわりがあります。
原付おばさん
眼鏡をかけた肥満体の中年女性。特売巡りに対する異常なまでの執念と行動力で、原付バイク(ホンダ・DJ・1など)で街中を爆走する交通違反の常習者です。「免許があれば何でも許されるざます」が口癖で、墨東署にとって最も厄介な名物キャラの一人です。
4. メカ好き必見!藤島康介が描く「魔改造」愛車図鑑
『逮捕しちゃうぞ』の魅力の核心は、そのリアリティとディテールにこだわったメカニック描写にあります。特に美幸の手によって「魔改造」された車両たちは、この作品のシンボルです。
魔改造ミニパト:ホンダ・トゥデイ
夏実と美幸の愛用するミニパトは、昭和60年発売の前期型ホンダ・トゥデイがベース。美幸によるチューンナップは徹底しており、コミック版ではエンジンがDOHC化され、600ccにボアアップ、最高出力80psに到達!さらにターボチャージャーとニトロ噴射装置まで搭載され、軽自動車とは思えないほどの走行性能を誇ります。大破してもツインエンジン4WD車として復活する、不死身の車です。
積載バイク:ホンダ・モトコンポ
ミニパトのトランクに収納されているのは、折りたたみ式の原付バイク、ホンダ・モトコンポ。非力なイメージのあるモトコンポですが、コミック版ではエンジンが90cc化されるという熱い改造が施されています。作中に登場したことで、モトコンポの人気を再燃させた立役者でもあります。
白バイ:スズキ・GSX-R750
中嶋剣の白バイも美幸の「作品」。1985年~1987年販売の1型スズキ・GSX-R750をベースに、エンジンが1100ccに積み替えられ、キャブレターやマフラーもカスタムされています。特徴的なのは、デュアルライトのうち片方が広報・サイレン用のスピーカーに換えられている点です。
5. 時代を超えて愛される!『逮捕しちゃうぞ』の軌跡
原作の連載は1992年に終了しましたが、その後もOVA版(1994年)でコンビ結成までのエピソードが描かれるなど、メディア展開が続きました。
そして2022年12月には、約30年ぶりとなる新作エピソード読み切り**『逮捕しちゃうぞGP』**が『アフタヌーン』に掲載され、伝説の婦警コンビの復活が大きな話題となりました。
『逮捕しちゃうぞ』は、精密なメカニックの描写と、主人公二人をはじめとする墨東署員たちのコミカルで人間味あふれる日常が融合した、唯一無二のアクションコメディ作品です。その魅力は、まるで精巧にチューンナップされたクラシックカーのように、時代を超えて多くのファンに愛され続けています。
あなたも、この熱いストーリーと精巧なメカニックの世界に再び触れてみませんか?
