『薬屋のひとりごと』漫画版を徹底比較!二つの世界観の楽しみ方
原作小説が絶大な人気を誇り、アニメ化によってさらにファンを増やし続ける**『薬屋のひとりごと』。そのコミカライズは、なんと2種類が並行して連載されている**という異例の状況をご存知でしょうか?
異なる出版社から出ている「月刊ビッグガンガン」版(通称:ガンガン版)と「月刊サンデーGX」版(通称:サンデー版)。基本的なストーリーは同じなのに、作画や構成によってその魅力は大きく異なります。
本稿では、この不思議な二つの漫画版の違いを徹底的に比較し、物語のあらすじや個性豊かな登場人物たちをご紹介します。
|
物語の舞台とあらすじ:薬師の少女、後宮の闇を解く
物語の舞台は、架空の中華風帝国「茘(リー)」。
主人公は聡明な元・花街の薬師
主人公は、花街で薬師として働いていた聡明な少女、猫猫(マオマオ)です。薬草採取中に人さらいに遭い、宮中の後宮に下女として売られてしまいます。
目立たず年季が明けるのを待つつもりだった猫猫ですが、皇帝の御子たちが次々と短命で亡くなっていることに気づきます。持ち前の薬学の知識と好奇心から、その原因を密かに突き止め、とある策略を講じます。
壬氏との出会いと毒見役への抜擢
この一件が、後宮を管理する絶世の美形宦官・**壬氏(ジンシ)**の目に留まります。
壬氏にその類まれなる才能を見抜かれた猫猫は、帝の寵妃である玉葉(ギョクヨウ)妃の毒見役に抜擢されることに。薬師としての知識と優れた観察眼を駆使し、後宮内で次々と起こる不可解な事件や陰謀を解き明かしていくのが、本作の大きなあらすじです。
後宮内の小さなミステリーから始まった物語は、やがて寵妃の失踪や毒殺未遂といった深刻な事件を経て、国家規模の陰謀へと巻き込まれていく壮大なスケールで展開します。
主要キャラクター紹介:猫猫と壬氏の関係性が魅力
『薬屋のひとりごと』最大の魅力は、個性豊かなキャラクターたち、特に主人公と美形宦官のじれったい関係性にあります。
猫猫(マオマオ)
- 特徴: 17歳の少女。薬と毒に対して異常なまでの探求心と好奇心を持つ。人間関係には不器用で無頓着。顔立ちは地味だが、これは花街で身を守るためそばかすを描いてわざと醜女に見せているため。
- 技能: 薬師としての深い知識に加え、毒を自ら試すことで多くの毒に耐性を持っています。
壬氏(ジンシ)
- 特徴: 後宮を管理する宦官で、「天女の微笑み」と称されるほどの絶世の美貌を持つ。後宮の女性たちを虜にしていますが、唯一自身の美しさに全く靡かない猫猫に強い興味を抱き、次第に惹かれていきます。
- 正体: 実は病弱を理由に人前に姿を見せない**皇帝の弟(華瑞月)**という、重大な秘密を隠して活動しています。
その他の主な登場人物
- 玉葉妃(ギョクヨウ): 猫猫の主で、皇帝の寵妃。猫猫の能力を高く評価し信頼している。
- 高順(ガオシュン): 壬氏付きの武官。常に壬氏に振り回される苦労人だが、忠義に厚く有能。
- 羅漢(ラカン): 「変人軍師」の異名を持つ、猫猫の実の父親(猫猫からは嫌われている)。人を将棋の駒として認識する特異な能力を持つ。
2種類のコミカライズを徹底比較!違いと選び方
どちらの漫画版も原作の魅力を伝えていますが、作画と構成によって読後感が大きく異なります。
1. 「月刊ビッグガンガン」版(ガンガン版)
項目 | 詳細 |
---|---|
作画 | ねこクラゲ氏 |
構成 | 七緒一綺氏 |
タイトル | 『薬屋のひとりごと』 |
最大の魅力 | 恋愛模様と人間関係に重点が置かれている |
特徴:
- 心理描写が丁寧で、原作小説の描写に比較的忠実です。
- キャラクターが可愛らしくコミカルに描かれる傾向があります。
- 猫猫と壬氏のじれったくも不器用な関係性が中心に据えられており、ラブコメディとしての側面を強く楽しめます。壬氏のナルシスト的な言動に対する猫猫の冷めた表情も魅力の一つです。
|
2. 「月刊サンデーGX」版(サンデー版)
項目 | 詳細 |
---|---|
作画 | 倉田三ノ路氏 |
タイトル | 『薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~』 |
最大の魅力 | ミステリー要素に重点が置かれている |
特徴:
- 後宮で起こる事件の謎解き部分がより詳しく、分かりやすく描かれています。
- 物語のテンポが良く、サクサクと読み進められますが、事件の背景や伏線に関する描写が丁寧で、ミステリーとしての骨太な面白さを重視する読者に向いています。
- ガンガン版では省略されているような事件の裏側や詳細な背景も描かれており、物語の理解が深まります。
|
どちらを読むべきか?結論は「両方」です!
二つの漫画版は、どちらが優れているというわけではなく、原作の魅力を異なる角度から引き出しています。
- ミステリーや事件の謎解きを重視したい方: テンポが良く、謎解きの詳細が分かりやすいサンデー版がおすすめです。
- 猫猫と壬氏の関係や、キャラクターたちの感情の機微をじっくり味わいたい方: 心理描写が丁寧で、よりコミカルなガンガン版がおすすめです。
最もおすすめなのは、やはり両方を読み比べることです。それぞれのバージョンで補完されている描写や、異なる角度から描かれたエピソードを楽しむことで、『薬屋のひとりごと』の世界をより深く多角的に理解できますよ。
幸いにも、サンデー版は「サンデーうぇぶり」、ガンガン版は「マンガUP!」といったアプリで無料で読み進めることが可能です。アニメから興味を持った方も、ぜひこの二つの魅力的なコミカライズを手に取って、その違いを体験してみてください!
|